1月 6, 2012
"星新一のショートショートに「協力的な男」という作品があった。強盗事件の犯人を名乗る青年が出頭してくる。ところが男はとんだくせ者で、うその自首をして警察をからかう常習犯。刑事たちはまたか、と怒って追い返してしまう。 ▼話にはもちろんオチがあり、男はひとりになってこうつぶやくのだ。今度は本当のことを言おうとしたのになあ――。オウム真理教元幹部、平田信容疑者の出頭劇にこの掌編を思い出した。大みそかの夜、捜査本部のある大崎署を訪れたが入り口が分からず、警視庁本部では門前払い。手配犯も途方に暮れたろう。 ▼ようやく逮捕された丸の内署での、最初のやり取りだって間が抜けている。玄関前にいた警察官に「オウムの平田です」と名乗るも「うそ」と相手にされず、「ほら、背が高いでしょう」とアピールして署内に入れてもらえたらしい。市民に協力を呼びかけておいて、当の警察がこういう体たらくでは力が抜ける。 ▼特別手配も17年。どうせもう出てこないと高をくくっていたとすれば、その思い込みたるや、うその自首に懲りて真犯人を追い払ってしまった刑事たちとどう違おう。とはいえ、からくもお縄にしたのだ。容疑者にはぜひ、オウムの闇にいま一度迫るための「協力的な男」になってもらわなければならない。(12・1・5)"

星新一のショートショートに「協力的な男」という作品があった。強盗事件の犯人を名乗る青年が出頭してくる。ところが男はとんだ  :日本経済新聞

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